水泳の基本姿勢であるけのび。
けのびは水泳をする上で重要となる技術であり、4泳法の基本姿勢です。なるべくこの姿勢をキープして泳ぐことができるのが理想ですが、背泳ぎと他の3種目では微妙に姿勢の作り方が違うということ、みなさんはご存知でしたか?
まずは基本のけのびの姿勢
背泳ぎの姿勢を説明する前に、まずは基本のけのびの姿勢から考えていきましょう。
基本のけのびの姿勢を作る時の目安は、壁と背中の隙間をなるべくなくすように腹圧をかけ、背中だけでなく腕や頭などの身体の背面がなるべく真っ直ぐ壁にくっつくように姿勢を取るのがいいと言われています。
(イメージしやすいように画像を横向きにしてみました)
けのびの姿勢は、ただ腕を伸ばして腹圧をかければOKというわけではありません。ポイントは、肩甲骨から上に持ち上げるように腕を伸ばすことです。こうすることで、ゴムチューブの端と端を持って引っ張った時のようにキュッとお腹がへっこみます。
さらに、正しいけのびの姿勢は、“頭の後ろで腕を組む”のではなく、“頭をはさみこむように腕を組む”ことです。頭の後ろで腕を組む方ががっちりとロックしてやりやすいと思いますが、それだと頭が飛び出てしまって余計な抵抗を生んでしまう可能性がでてくるからです。
(赤丸部分が飛び出て抵抗になる。耳の後ろで腕を組むとさらに頭が出る)
少しでも抵抗を減らしたいのであれば、なるべく飛び出る部分をなくして斜めのラインを作ることが大切です。
水面側をまっすぐの姿勢にする
さて、画像を見ていただければわかると思いますが、けのびの基本姿勢では、背中側、つまり水面側がまっすぐになるように姿勢を作っています。
これが、腕や脚が下がるような姿勢になり、お腹側がまっすぐになるような姿勢になっていると、水中を進行する時に身体とぶつかった水が上に上がり、身体が下に下がってしまいます。
もちろん、水面でも腕や脚が下がった状態での泳ぎで背中に水が乗っかってしまってはまともに泳げませんよね?そんなことは言われなくてもわかっているという人も多いと思います。
ところが、背泳ぎでけのびの姿勢を作る時に、この大前提を忘れてしまっている人も意外と多いのです。
背泳ぎではお腹側をまっすぐにする
背泳ぎは他の種目と違って上を向いて泳ぐ種目です。ですからもちろん背中側ではなくお腹側をまっすぐにする姿勢を作る必要があります。
(背泳ぎでは前面を壁につけてるイメージで姿勢を作る必要がある)
ところが、実際には下向きのけのびと同じように姿勢を作っている人も多いため、水中では進めば進むほど下に潜ってしまってなかなか上がってこれなかったり、水面で泳いでいる時も胸を張って顔が沈みそうな姿勢で泳いでいるという場面をよく見かけます。
イメージはボートのような姿勢
下向きであろうが上向きであろうが基本は水面側がまっすぐになるように姿勢を作る、つまり自分の身体をボートだと思って頂ければ少しはイメージがわくのではないでしょうか。
ボートの先端が水没しているような状態だと、ボートの中にどんどん水が浸入してきてあっという間にボートそのものが水没してしまいますよね?泳ぐときの姿勢もこれと一緒です。
抵抗を減らして水面をスイスイ進むためには水面側の面をまっすぐにする姿勢を作る意識がなくてはならないのです。
特に背泳ぎを泳ぐ時に顔が沈みそうな感覚があるという人や、水中からの浮き上がりがなかなかうまくいかないという人は、もう一度自分の姿勢を見直してみる必要があるのかもしれません。
ちょこっと指先を水面から出すように意識するだけで、今までよりラクに背泳ぎを泳げるようになるかもしれませんよ!