クロールの手は水面ギリギリで前に伸ばすわけではない


水泳初心者の方がクロールを泳いでいて意識することのひとつに、入水後腕が下がってしまわないようにすることが挙げられます。

クロールを泳ぐ時は、反対側の腕をリカバリーで前に戻して指先が水面に着くくらいのタイミングでキャッチを始めるまで前に伸ばした腕が下がらないようにグライドし続けなければいけません。

そうしなければ、“しっかりとハイエルボーで水をかくことができない”“下がった腕が水の抵抗になる”“ストロークのテンポが上がってただ腕をグルグル回しているだけになってしまう”などのデメリットが考えられます。

そのため、なるべく手の入水後に腕が下がらないように意識して泳いでいる人もいると思いますが、手を伸ばす位置は水面ギリギリではないんです。

まずはこちらの動画をご覧ください。 こちらはアメリカのトップスイマーネイサン・エイドリアン選手※のクロールの動画です。

※ネイサン・エイドリアン(Nathan Adrian、1988年12月7日 - )は、ワシントン州ブレマートン出身のアメリカ合衆国の競泳選手。オリンピックと世界水泳選手権の金メダリスト。(Wikipedia

この動画の水中映像を見てみると、入水後の腕の位置は水面ギリギリではなく脇の延長線上に伸ばしているということがよくわかると思います。

(わかりやすく静止画も載せておきます)

入水後の正しい腕の位置は水面下20cmくらいの位置だと言われています。目安としては肩より肘、肘より手のひらが若干下になるくらいの位置です。ではなぜ水面ギリギリではいけないのでしょうか?

・体重を前に乗せることができない

腕を伸ばす位置が水面ギリギリであれば、腕が下がってしまう心配は軽減されるかもしれません。しかし、指先が水面に上がってしまうと身体が若干起き上がるような姿勢になるので、体重を前に乗せることができません。

みなさんは走る時に身体を後ろ側に傾けてスピードを出すことができますか?無理ですよね?気持ちよく前に進むためには前傾姿勢になる必要があるんです。

・腰落ちの原因にもなる

また、水面ギリギリで腕を伸ばす姿勢は、後ろに体重がかかりやすいせいで、腰落ちの原因となり、下半身が下がりやすくなってしまいます。クロールを泳ぐときにどうしても下半身が下がってしまってきちんとした姿勢が取れないとお悩みの方は、もしかしたら入水後の腕の位置を改善することで腰落ちを解消することができる可能性があります。

・水面下20cmで肩も楽になる

今まで腕が下がらないように一生懸命水面ギリギリに伸ばしていたという人の中には、姿勢をキープするのにツラい思いをしたという人もいると思います。

肩の筋肉によって腕が下がらないように持ち上げ続ける動作に加えて、ローリングによって身体が沈み込むのにもかかわらず、肩から先を水面に向かって伸ばすわけですから、かなりの肩関節の柔軟性が必要な姿勢であるということは安易に想像できます。

ところが、水面下20cmに腕を伸ばすとなれば、今までのように無理やり腕を持ち上げる必要もなくなるので、肩が楽になって泳ぎやすくなります。

・短距離スイマーなら水面下30cmでもOK

あなたがもし50mを得意とする短距離スイマーで、より速いタイムを出したいと考えているのなら、入水位置は水面下30cmでも問題ありません。

そうすることで、素早いキャッチ動作が可能になるからです。ただし、これには高い技術が必要になります。素早い動きでも正確に水をキャッチする技術を身につけるためにも、神経系のトレーニングなども併せて行う必要があるでしょう。

映像で正しい姿勢で泳げているかどうかの確認がしたい方や、正しい腕の位置を身につけたいという方はこちら

#上達のヒント #クロール #プル

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