水の抵抗を理解して速くなろう①


水泳を習っていると「もっとちゃんと姿勢を作って!」「抵抗の少ない姿勢を目指しましょう!」というようなことを誰もが言われたことがあるセリフだと思います。

僕自身も指導中に幾度となく姿勢について注意をしたことがありますが、基本姿勢すらきちんととれていないひとが多いことを考えると、姿勢が悪いと水の抵抗が増えて推進力に大きな影響を及ぼすということはわかっていても、水の抵抗について具体的に理解している人というのは意外と少ないのかもしれませんね。

水泳が速くなるためには水の抵抗は避けては通れない重要な水の特性です。ということで、今日は水の抵抗について話したいと思います。まずは水の抵抗の大きな2つの特徴を知っていきましょう!

・水の抵抗は物体の断面積に比例する

断面積ってわかりますか?物体を切った時の断面の面積のことですね。水泳で言えば、進行方向から見た時に見えるその人の大きさがそのまま断面積だと思ってもらえればいいと思います。

断面積なので後ろが空洞だとかそんなことは関係ありません。飛び出している部分は全て抵抗の原因となります。みなさんはビート板を立てて水中に沈めてキックをしたことはありますか?したことがある人は物凄い抵抗を感じた事と思います。

このように同じ体積の物体でも、水が当たる部分が増えれば増えるほど抵抗が増えてしまうのです。だから

・肘が曲がっている

・頭が出ている

・下半身が下がっている

こういったものは全て遅くなる原因です。つまり、身体が大きくていくらパワーがあるスイマーでも、断面積が大きいとそれだけ抵抗が増えるので不利になり、逆に身体が小さくて非力なスイマーでも抵抗排除技術が高ければ自分より体格がいいスイマーに勝つことは不可能ではないと言えるでしょう。

・水の抵抗は物体の移動速度の3乗に比例する

水の中を物体が移動する時にかかる抵抗は移動速度の3乗に比例すると言われているのですが、これはどういう意味かというと、50mを60秒で進む人にかかる抵抗が1倍だとすると、50mを30秒で進む人には約8倍もの抵抗が加わるというわけです。

ここで、とても大事な事実をお伝えします。水泳業界では今まで、水の抵抗は物体の移動速度の2乗に比例すると信じられていました。ところが、東京工業大学の研究グループが“スイマーが遊泳時に受ける抵抗を正確に推定できる方法”を開発し検証した結果、移動速度の3乗に比例するということが判明したのです!

参考記事:遊泳中のスイマーにかかる抵抗を推定する方法を開発―スイマーの抵抗は泳速の3乗に比例する―(東工大ニュース | 東京工業大学)

その結果、今まで速度が2倍になると抵抗は4倍だと信じられていたものが、実は8倍にまで増えているというこの事実!スピードが速くなればなるほど抵抗の少ない姿勢が作れないと無駄な負荷がかかりまくり、ひたすら無駄な体力を消耗してしまうというわけです!

・水の抵抗は推進力を得るのにも重要な要素

水の抵抗は速度の3乗に比例するという特性は、我々が前に進もうとするのを邪魔するだけではなく、より速い速度を出すのにも重要な要素なのです。

速度が上がれば上がるほど水の抵抗が強くなるということは、水をかく手の動きが速くなれば速くなるほどグングン加速することが可能だということです!

みなさんは、泳ぐのが上手な人がゆったりと大きなストロークをしているのに、ひとかきするごとにグイグイ進んでいくのを見て「どうしてあんなにゆっくり泳いでるのにあれだけ速く進むんだろう?」と思ったことはありませんか?

その秘密はこの水の抵抗にあったというわけです!水泳初心者は水をかいている時とリカバリー時で手を動かす速度にあまり変化がなく一定の速度で回し続けていることが多いですが、泳ぎが上手い人は水をかく時が80%、リカバリーが20%というようにストロークの速度を変化させて動かしています。

水をかく手の速度が上がればそれだけ大きな水の抵抗があるので、ひとかきで大きな推進力を産むことが可能なのです。

抵抗を排除するだけではなく、加速をするためにも必要だった水の抵抗。なぜこんなにコーチたちがしつこく「姿勢が大事!」と言い続けているのか理解できたのではないでしょうか。

水泳はとにかく水の抵抗をどう攻略するかで泳力に大きな差がでるスポーツです。もしかしたら今まであまり意識していなかった姿勢を意識するだけでも、ただがむしゃらに頑張っていた時よりも楽に速く泳げるようになるかもしれませんよ!

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#上達のヒント #水の抵抗

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